1923年9月の関東大震災後、谷崎が関西に定住した。関西地区は西洋思想からの影響がすくなくて、江戸時代の「町人文化」はここでもっと多く保存されていた。谷崎さんはこれで伝統的な日本婦人を了解して、古典的な日本婦人の伝統的な美徳を見出した。そのため、関西文化を背景にして、代表作と称される『細雪』を著した。『細雪』では、谷崎は伝統的な文化の影響を受けた関西婦人のイメージを作った。このピークの作といわれる小説には、日本伝統美の特徴を十分に体現していて、自然美と女性美と魂の美の結合が完璧だ。この美は谷崎潤一郎の耽美主義に対して最も良い解釈である。谷崎の小説世界はグロテスクと怪異に満ちて、醜い中に美を求め、死に生きる意味を考える。その上、日本耽美主義流派で功績最高、影響最大の谷崎潤一郎はどのような人間か、『細雪』にでの美意識はどんな理念であるのか、それらの質問に強く関心を持ち始め、先行研究を踏まえて、彼の原作を読んで、自分なりに明らかに解き、谷崎像をつかみたいと思うようになった。したがって、こう言うテーマを選んだのである。
1。2先行研究と目的
『細雪』は、谷崎潤一郎文学の最高傑作として、彼の文学思想と文学理念を充分に表現した。作品は主人公雪子5回のお見合いを軸に、入念な筆墨で沒落した造船所の蒔岡家四姉妹の日常生活を描いた。全書は日本の伝統美意識「真」を基調として、「もののあわれ」、「幽玄」など美学理念も貫通し、純粋な視点で日本古典の美と哀の世界を構築した。
ここで、それに関する先行研究をいくつか挙げておこう。文献综述
1。 『「細雪」四姉妹の自称詞―「卍」を参考資料として』(『表現研究』二00五年十月(82)50-59 表現学会)
『細雪』の主人公である蒔岡家四姉妹は阪神間に住んでいる没落した旧家の令嬢たちという設定で、日常の会話がほとんど関西方言でなされている。そのゆえに、この研究は彼女たちが話している関西方言や尊敬語を研究素材の中心として論じている。
2。 高間文香 『谷崎潤一郎「細雪」論:目的としての<語り>』
この論文は『細雪』の創作手法に目を向けた研究である。