本田総一郎(1985)は『箸の本』の中で、お箸のタブーについて述べている。例えば、どの料理から手をつけようかと迷い、料理の上であちこち動かすことは「迷い箸」、箸をなめることあるいは、箸の一部分がロ中深く入れて、そして音を出すことは「舐り箸」、汁物などのとき、椀の中をかきまぜて中身を探ることは「探り箸」だと述べた。贾蕙萱(2002)も『中日饮食文化比较研究』の中で同じことを書き、中国ではそれぞれ「执箸巡城」、「品箸留声」、「海底捞月」と呼ばれることを述べた。

二人は両国の箸のタブーの相違点も述べている。日本では箸を使って口の中に大量に食べ物を詰め込みほおばる所作がある。これは「込み箸」と言える。或いは骨付き魚の上側を食べた後、骨越しに裏側の身をつついて食べること。これは「透かし箸」と言える。また、日本の「直箸」という風俗は中国および韓国と全く違い。これは複数の人で料理を食べる際、取り箸を使わずに個人の箸で直に取り分ける所作。日本独自の嫌い箸であり、中国、朝鮮など取り箸が存在しない地域では問題とならない。しかし日本人にとって、これは不潔であるように認められる。一方、中国で独特なタブーもある。箸の長さが違った時お客様あるいはご主人の夫妻が必ず一人が先に死ぬことを意味する。そのため、中国人は箸をレイアウトする時、いつも同じ長さの2本を選ぶ。これは「长短筷」と言う。

村木新次郎(1992)『日本語の語彙と日本文化』の中で箸に関する語彙がたくさんあり、そして箸の握り方や使うルールもあると述べた。孙丽娟(2012)『从筷子看日本文化』の中で、箸は中国から日本に取り入れてから飲食の生活中で普及と発展を得て、そして独特な箸の文化が発生した。公用箸と割り箸の出現とともに、箸の使いには数十種類の禁忌が生じてきた。その中は上品ではない挙止以外、葬式と関係があると述べた。また、蓝翔(1996)は『汉族婚礼筷俗』の中で中国の北方は陕西「唱赞礼」、湖北「撒筷」、黄土高原の「拜堂筷俗」などの風俗があると述べている。[11]论文网

そこで、本稿では、箸の使い方の風俗習慣から、箸のタブーを中心にして、中日両国の箸文化の異同を比較する。日本の箸文化を深く理解するために、その原因を探ってみたいと思う。

まず、先行研究として、中国と日本の箸について簡単に述べてみたいと思う。次に、中日両国の箸の使い方の習わしを調べ、箸のタブーをめぐって、資料を集める。それから、箸のタブーの相違点を支える資料を整理し、分析する。最後に、その相違点の原因を明らかにする。

2。中日のお箸

2。1中国と日本の箸の歴史

中国の箸の起源は非常に古い。考古の資料から、原始社会の人々はすでに木の枝、竹の棒、動物の骨の角で挟んで食物をとることが分かった。蓝翔(1993)は『筷子古今谈』の中で、中国東北の民間文学を従事する人が収集した治水先祖――大禹が箸を発明した民話があった。

長い歴史の中で、古人の主な食器として使われてきた箸は、その名前が決して「箸」としか言わなくて、何度も変遷を経たと言える。戦国時代は「挟」あるいは「荚」を一般的に語った。漢朝に至っては「箸」、「筋」と改名した。これは箸の名前が過渡期に進化したので、両者が通用して、ずっと隋唐まで続いた。李白は名詩『行路难』の中で、「停杯投筋不能食」。杜甫の名詩『丽人行』の中で、「犀箸厌饮久未下」などと述べた。

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