金昌男は日本語母語話者が依頼表現として多く用いる授受補助動詞「てくれる/くださ る」と「てもらう/いただく」について、家族または家族以外に対してどう使い分けてい るかをアンケート調査において明らかにし、男女別・年齢別にも結果を比較した。被験者 300 人を対象とするアンケート調査の結果、聞き手が家族の場合は「くれる型」が多く使 用され、年齢別にみると最高齢層が他年代に比べ「くださる型」を多用していることが分 かった。また金は、性別による違いについて、「もらう型」の割合は女性の方が高かった と述べている。
高村英里奈は、日本語の依頼における文末表現について、依頼者の性別と依頼内容の負 担度の大小によってどのような相違点が見られるのか調査するためにアンケートを行う。 その結果、負担度が大きいほど、「もらう型」>「くれる型」、「否定型」>「肯定型」と なり、より聞き手のことを考えた表現を使用していることを示した。また、依頼内容の負 担度に関わらず、男性が女性よりも「くれる型」>「もらう型」、「否定型」>「肯定型」 を用いると述べている。文献综述
3。 調査方法
本研究はアンケート調査の方法を用いて、中国人の日本語学習者についての依頼表現習 得状況に関するデータを集める。そこから得られたデータに基づいて分析し、各学習者の 習得状況を明らかにする。なお、回収されたアンケートのうち、有効なものは 64 部であ る。
3。1 調査概要
本調査は、2017 年 1 月に浙江省の杭州師範大学で実施した。調査の対象は、杭州師 範大学外国語学院日本語学科 1 年生から 3 年生の 64 人である。 そのうち、1 年生 17 人、2 年生 26 人、3 年生 21 人である