細井尚子（2004）は『越劇と宝塚歌劇 (特集 中国演劇におけるジェンダー)』という文章の中で、越劇と宝塚の発展歴史の紹介を通して、舞台の下、舞台の上、演者と観客の三点から越劇と宝塚の輪郭を分析した。

楊永賢(2003)は『越劇改革中の節回しの変遷と発展』で越劇の節回しの変遷歴史に著目し、発展した歴史や文化背景を分析し、節回しの中で含まれる美学思想や美学意義を指摘した。

しかし、既往の研究では、二つの劇種をそれぞれ分析するものが多く、越劇と宝塚についての比較研究はあまり多くない、あるといっても雀の涙ほどしかない。以下、本論ではこの両者の異同の比較を通して、越劇と宝塚の取材範囲、俳優などを分析し、この二つ劇種の中に潜んだ美の感覚を探し、人々にこの両者の素晴らしさを伝えたい。

2。 越劇と宝塚の歴史

2。1 越劇

越劇は浙江省嵊県（現在の嵊州市）に流行した「落地唱書」という芸能から発展したものである。论文网

当時の「落地唱書」はただ「自娯自楽」のために存在し、あるいは自分たちでやって楽しむことだっだが、表演などがぜんぜん思わなかった。1906年3月27日六人の農民芸人は戸板で簡単な舞台を作り、初めて化粧して人の前で「落地唱書」を演出した。これは越劇最初の舞台であった。越劇はここから生まれ、彼らは「小歌班」と呼ばれる。しかし、あの時代の中国はまた封建社会なので、女性は舞台に演出すること、立つことさえ禁止された。「小歌班」の芸人はすべて男性であったので、「小歌班」はよく「男班」と呼ばれる。

1917年5月13日、小歌班は初めて上海に進出した。当時の上海ではさまざまな劇曲が競争しているので、観客は劇曲に対する要求は普通より高い。ほかの劇曲に比べて、当時の越劇は方言を使って、芸術性もなく、観客は寥寥としていくばくもない。小歌班は失敗に終わった。この後「小歌班」の男芸人たちが三回上海に進出したが，すべて失敗であった。上海で局面を打開するため、「小歌班」の芸人たちは新たな芸術様式を求めなければならなかった。彼らは京劇、紹興大班などの劇種から長所を吸収しながら、自分自身の劇目や音楽、服装、化粧などのことに改善を行った。改善したの「小歌班」は1922年で「紹興文劇」に改名し、芸人は四回目上海に進出し、やっと人々に注目され、上海に定着した。1923年越劇の初めての女班が創立された。1924年この女班は上海で公演した。この女班を初めてとして、上海に来る女班はますます増えた。1941年の下半期まで、上海にあった女班の数目は36に達した。当時の新聞は「現在上海の女子越劇は一世を風靡し、意外にすべてを凌駕の勢いだ。」という評論があった。男班は後継ぎがなかったので、ついに女班に取って代わり、越劇は男性の劇班から女性の劇班に転化した。女子越劇の時代は始まった。男性だけで演じる時代が終わり、すべての役柄が女性で演じるという特徴がここから始まった。この特徴が越劇に大きな変化を与え、越劇は江南女子のような優雅優美の方向に発展していった。

2。2 宝塚

1910年箕面有馬電気軌道の梅田から宝塚までの支線が開通した。当時の社長小林一三は新聞で新光三越は三越少年音楽隊や白木屋少女音楽隊を使って、顧客を引くというニュースから想を得て、温泉場の余興として集客のために少女たちに歌を歌わせようということになり、1913年で宝塚唱歌隊を組織された。これこそ宝塚歌劇団の前身であった。同年12月に新しい成員4人を加え16人になった宝塚唱歌隊は宝塚少女歌劇養成会に改称した。この養成会は安藤弘夫婦の「ただ唱歌は簡単すぎる。歌劇を上演すべし」という主張を採用し、教授の重点が変わった。1914年、宝塚少女歌劇養成会は宝塚新温泉のパラダイス劇場で初演した。