上述の論文はたいてい日本推理小説の発展の歴史をまとめるものだであるが、日本推理小説の発展傾向について研究する人が多くない。それを問題として、筆者は本論文で江戸川乱歩、松本清張と東野圭吾を中心に、本格派と社会派の対立と融合を分析し、日本推理小説の発展傾向を探り出したい。

江戸川乱歩に関する研究は2011年の徐笑吟の「都市空間・遊民・視覚体験」 と2014年の徐広亮の「江戸川乱歩の作品の妖異美学」 、張歓の「『屋根裏の散歩者』に見られる『覗き見』」 と何年紅の「江戸川乱歩の二十世紀二十年代の作品における観覚芸術論――視学と触覚」 がある。以上のほとんどの論文は江戸川乱歩の作品の中の心理描写、都市空間、視学体験、視学文化、遊民などを巡って研究した。特に、「覗き見」は重要なポイントである。文献综述

中国における松本清張に関する研究も80年代から繁栄する。李徳純はその時から松本清張の文学の研究をはじめ、1985年の「日本社会派推理小説」 で松本清張の推理小説の社会派の特徴を三つの方面に分けて述べる。第一、松本清張の作品が米軍占領時期、アメリカと日本の民族矛盾へ注目していることである。第二、冷静な態度で分析し、事実を通り、政界と財界の裏で結託することや暗みをさらけ出し、時代の持病を指摘したことである。第三、官界の闘いを暴き、日本資本主義の本質を明らかに示すことである。

張瑰琦(2007)の「松本清張の初期推理小説をめぐって——『ゼロの焦点』と『砂の器』を中心に」 と2012年の劉暁昱の「松本清張推理小説の創作特徴について」 では、松本清張が推理小説の中で人間に対する描写を重視するという特徴と指摘した。彼の作品は戦後、昭和時期人々の生存状況を描い出し、政治、経済、文化、日米関係など幅広い社会問題を批判する。論文で清張の作品が社会の様々な面に亘って深い現実性と社会性、強い文学性を持ち、犯罪の動機を重視し、謎解きという伝統手法も捨てないと指摘した。

 日本では、数多くの研究者は松本清張の社会派ミステリーに関する研究を行った。三好行雄は「松本清張・人と作品」 で清張の作品が読者の共感を集めた原因は、そのリアリティーだと述べた。

2006年の仲正昌樹の『松本清張の現実と虚構――あなたは清張の意図にどこまで気づいているか』 は清張の作品の特徴が犯人の犯罪動機の形成が社会背景と関係があると指摘した。

2006年、日本文壇は東野圭吾の『容疑者Xの献身』に驚いた。その後、『たぶん後の御挨拶』、『僕たちの好きな東野圭吾』、『東野圭吾の謎 東野作品の研究・考察集成』、『もっと!東野圭吾・東野圭吾をもっと楽しむための7つの視点』などの研究性著作はどんどん書き出す。東野圭吾の生い立ちと主要な作品を紹介し、小説の人物の形象を分析し、社会への影響を探討する。

中国には、2012年の秦思思の「東野圭吾の推理小説の特色の解析」 と2014年の張景一の「東野圭吾の作品中での新社会派の特徴」 は東野圭吾の小説の特徴を検討した。両方とも東野圭吾の「写実本格派」という風格を注目する。秦思思は東野圭吾の小説の創作背景を述べ、その風格の形成は日本推理小説発展の必然の結果と指摘した。東野圭吾の小説は伝統的で単線的な述べるの方式を打ち破り、複線または多線を採用し、視角も様々である。それに対し、張景一は四つの特徴を列挙し、圭吾の作品の社会性を明らかにした。第一、作品の中で具体的な時間を出さなく、有名な社会事件を通して案件の時間を示す。第二、未成年者の悪性犯罪事件を披露し、日本『少年法』への疑問を出す。第三、新しい謎解きの形式を採用する。第四、大衆と緊密な関係がある社会問題に注目している。

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