繰り返し過程とは、繰り返して成立する運動を全体として一つの過程ととらえて表す、その過程のことである。全体を表せた過程が一つの大規模な持続的動作に相当し、この大規模な動作を持続過程の中にある姿で差し出している。
ある局面の完成後に次の局面の中にある姿は持続過程という意の派生でも言える。ただし、変化結果の持続過程をなす局面の中にある姿を差し出していることのほかに、もう一つ、基準時間のまえに変化が完成したことも合わせて表している。変化動詞の場合だけではなく、動作動詞の場合には、始発の局面が基準時間よりまえに成立したことと、基準時間のおいて動作の局面の中にあることとを合わせて差し出すことになる。つまり、合い続く二つの局面を意的には、完成相と継続相の二つの姿で差し出しているのである。
以前に行った動作や以前に起こった出来事が、経験記録として後まで残っていることを表す。この用法は、以前にそういう事実があったことと、その後そのことが特徴になっているとの、二つの時間のことが述べられている。そして、以前の事実はまるごとの姿で差し出され、その結果が特徴になっていることは、持続の姿でさしだされている。
継続相に形で持続過程の中にあることを表していても、その持続過程が運動の過程の中のどこかの局面というのではない場合がある。これらの文が取り出している過程はそのような局面ではないので、これらの動詞の形式が表しているものは、アスペクト的な意だと言えない。つまり、そういう文の「シテイル」形式で持続過程の中にあることを表していても、その持続過程が運動の過程の中のどこかの局面というのではない場合である。それは状態的な性質を表しているので、状態の持続過程の中にあることになる。
庵功雄(2001)は『新しい日本語学入門 ことばのしくみを考える』で、以下のように述べている。