本稿では、以上の観点を立って、全面的に枯山水庭園を紹介する。そして、先行研究を踏まえながら、枯山水庭園の日本での形成や発展を調べて、そこに潜められている日本人の美意識や枯山水の長い生命力を研究したい。
1.1問題の提起
日本枯山水庭園文化についての研究は近代からますます発展している。「枯山水」が作庭上の専門語として、最初に文献上に現れるのは、平安時代に編集された『作庭記』であるといわれている。室町時代より前には、枯山水は、ただ自然の山と海を模倣して、石と砂で作られた小さな景観に過ぎなかった。石を組み、砂で水の波紋を表した。これにより、寺から外界に出なくとも、自然の景観の縮景を見ることができた。
室町時代以降の枯山水は、より抽象性を重視するようになり、超自然主義的なものになった。従来の庭園に比べてはるかに狭い空間に、世界観や宇宙観を美しく表現した。石を組む技術はより高度になり、枯山水の様式はいっそう完璧なものになった。そして、枯山水の景色を目で見て理解するだけでなく、精神においても、その抽象的な世界を理解することが求められた。しかし、多くの先行研究では禅宗思想の影響を対象に枯山水庭園の研究をしている。これによって、研究方向は単一化になるという点では、不備があるように思われる。筆者は先行研究の観点にたつ、全面的に枯山水庭園を紹介する。そして、本稿では、日本庭園と枯山水庭園を通し、日本人の繊細、真実、侘びと寂びという独特の美意識を明らかにしたい。