2.1 基本的な語用意
「あなた」とはやさしい響きのする言葉だ。いまでは話の相手方に呼びかけるときの呼称、あるいは第二人称代名詞としてもっともよく使われている。
まず、日本語の辞書ではどう記述しているのでしょうか。
『広辞苑』:近世以後、目上や同輩である相手を敬って指す語。(現今では敬意の度合いが減じている。)「注:広辞苑(1998)」
『新明解国語辞典』:自分と同等程度の相手を軽い敬意をもって指す言葉。「注:新明解国語辞典(1981)」
『新選国語辞典』:相手を尊敬してと呼ぶ語。現代語としては、最も標準的な語であるが、普通は目上に使えない。「注:新選国語辞典(1981)」
『明鏡国語辞典』:同等以下の相手を指し示す語。本来対等または目上の相手への敬語として使ったが、現在ではよそよそしい語感が嫌われ、対等の相手には避けられる傾向がある。今、軽い敬語として、同等以下の相手に使うほか、妻が夫を親しんでいう場合や名前・身分などのわからない相手に使う傾向が強い。「注:明鏡国語辞典」