住み慣れた地域や住まいで尊厳ある自立した生活を送ることができるよう、質の高い保険医療・福祉サービスの確保、将来にわたって安定した介護保険制度の確立などに取り組んでいる。
2.3 介護保険制度の誕生
介護保険制度施行以前は、福祉援助が必要な高齢者に対して行政が税金を使い、必要なサービスを提供する「措置制度」が行なわれていた。しかし、社会全体の高齢化傾向に加え、社会福祉費用や老人医療費の増大がサービスを提供する自治体財源を圧迫し、財源不足が大きな問題となった。これらの問題を受け、増大する医療費から介護部分を切り離し誕生したのが介護保険制度である。
制度では、介護を必要とする人に対し自治体が必要なサービスを選定する制度から、介護を必要とする人が必要なサービスを自由に選択できる制度となり、制度施行以前に問題となっていた老人医療費増大の一因である「社会的入院」の軽減も図られた。
1994年4月厚生省(2001年から「厚生労働省」に変更することにした)は21世紀の日増しに深刻となる高齢化問題の解決や新たな高齢者介護システムを設置する研究などを目的に高齢者介護対策本部を設け1994年12月高齢者介護、自立支援研究会が提案を提出した。介護保険制度を設ける必要がるということを強調した。
1995年2月 老人保健福祉審議会はその提案について審議が行われた。
1996年11月 日本国会は介護保険法案を提出した。
1997年12月 「介護保険法」が国会の採決で可決された。
2000年4月 長期介護保険法案が正式に実施された。
2.4 介護保険制度の改正
① 2005年改正
1) 介護予防の重視(要支援者への給付を介護予防給付に。介護予防ケアマネジメントは地域包括支援センターが実施。介護予防事業、包括的支援事業などの地域支援事業の実施。)
2) 施設給付の見直し(食費・居住費を保険給付の対象外に。所得の低い方への補足給付。)
3) 地域密着サービスの創設、介護サービス情報の公表、負担能力をきめ細かく反映した第1号保険料の設定など。
② 2008年改正
介護サービス事業者の法令遵守などの業務管理体制の整備。休止・廃止の事前届出制。休止・廃止時のサービス確保の義務化など。
③ 2012年改正源]自=优尔-·论~文"网·www.youerw.com/
1) 地域包括ケアの推進。24時間対応の定期巡回・随時対応サービスや複合サービスの創設。介護予防・日常生活支援総合事業の創設。介護療養病床の廃止期限の猶予。
2) 介護職員によるたんの吸引など。有料老人ホームなどにおける前払う金の返還に関する利用者保護。市町村における高齢者の権利擁護の推進。
3) 介護保険事業計画と医療サービス、住まいに関する計画との調和。地域密着型サービスの公募・選考による指定を可能に。各都道府県の財政安定化基金の取り崩しなど。
3 介護保険制度の実施状況
3.1 介護保険制度の仕組み
介護保険の財源は、国や都道府県および市町村の公的な負担と高齢者を含む40歳以上のすべての人の負担により成り立っている。その比率は50%ずつである。その仕組みは以下の図1のように述べられている。