「日本における狐信仰の濫觴を文獻に尋ねれば、『日本書紀』巻第十九、「天國排開広庭」の冒頭、天皇幼年の霊夢の記事まで遡ることができる。」と王琦（2010）は指摘している。

林方圆（2012）は「古代、狐は農耕を司る稲荷神の使者として人々から大切に扱われていた。その後、狐そのものも神様として祀られるようになった。」と主張している。

吉野裕子（1990）は「狐は稲荷神などのような神使として信仰され、幸運や豊作などを祈るという狐信仰が形成された。」と述べている。

本稿は狐信仰の内容が幸運、豊作、力を与えてもらうこと、仕事が順調に行くこと、生活が順調にいくことなどを祈願し、狐に自分と家族を守ってもらうことにあるという仮説を立て、アニメにおける狐のイメージ研究を通して、仮説を検証することにする。現在、日本の各地で、稲荷神社の中に狐の彫像が見られる。毎年、日本人は特定の日（正月や毎月の定期的な日に開かれる市へ行く日）に稲荷神社へ祈りを捧げたりや祭りを執り行ったりする。ここからも、日本の狐信仰が盛んなことがわかる。

日本の狐文化についての先行研究は多いが、日本のアニメという角度からの研究は少ない。王安丽（2010）は「日本アニメと漫画における化け物のイメージは日本文化の特徴である。」と述べている。

現在の大人気のアニメにもよく狐のイメージが登場する。周知の通り、アニメはすでに日本経済の中心的存在になっており、世界的にも重要な位置を占めている。

ウィキペディアによると、日本は、全世界でつくられるアニメの60％を生産しており、世界最大のアニメ産業の輸出国である 。動く絵としてのアニメだけではなく、各種のアニメのキャラクターのイメージは街頭にあふれ、特に雑誌やテレビなどの範疇を越え、それはすでに一つの完全なアニメの産業チェーンを形成し、日本社会の隅々に浸透している。アニメは日本人の重要な精神的郷里と言えるだけではなく、日本の対外文化宣伝の重要なルートでもある。更に、アニメが、日本の文化を理解する方式の一つともなっているのである。

日本のアニメの題材は広範である。中でも、大切な日本の文化を伝播するプラットフォームになったアニメに、ここ数年来、狐を題材としたものが次々と現れている。では、なぜこのような大切なプラットフォームで、狐のイメージがよく描かれているのだろうか。それは、日本人の狐信仰と大きく関わっているのである。文献综述

1.2研究対象

日本の人気のアニメ雑誌『Ｎewtype』では読者の意見を基に、アニメの人気ランキングが公表されている。筆者はここ10年間にわたり、『Ｎewtype』の毎月の人気アニメランキングを調べ、狐のキャラクターが出てくるアニメを選び、そのうちのランキングした回数がもっとも多い10本のアニメ(「ぎんぎつね」、「妖狐X僕SS」、「神様はじめました」、「Kanon」、「かのこん」、「いなり、こんこん、恋いろは。」、「夏目友人帳」、「ナルト」、「犬夜叉」、「我が家のお稲荷さま。」)を研究対象にする。

1.3研究方法

先行研究を調べ、まとめる。そして、狐信仰についての資料を調べ、狐信仰のポイントを抽出し、分析する。次に、狐のキャラクターが出てくるアニメを選び、日本の狐信仰と関連させ、アニメにおける狐のイメージをまとめる。