1.1 ロリータファッションとは
ロリータファッションとは何かを探せば、その説明は多岐にわたる。
城一夫(1987)によれば、ロリータファッションを次のように紹介している。「少女のようにかわいらしい幼い感じのファッションに対する総称として用いられる。フリルのたくさんついたブラウス、レースカラーやリボン使いのドレス、花柄のスカートなどを、特に少女でない人が着るときにいう」 。ロリータという言葉が新しいファッション用語として用いられるようになったのは、1986年のことである。
また、嶽本野ばら(2010)によると、ロリータファッションは少女のあどけないかわいらしさ、小悪魔的な美しさを表現したスタイルであり、欧米文化への憧れと想像力をエンジンに、懐古的でありながらも全く新しい日本独自の解釈を加えた、ティーンを中心としたストリートファッションであることがわかる。
松浦桃(2007)は、ロリータファッションは「大人の少女服」と形容されることもあると述べている。今日のロリータファッションは、西方のロココ、ビクトリア、ゴシック時期のファッション文化及びパンク潮流などの文化的な要素の影響で、今のファッションと流行の要素と結びつけて生まれたスタイルで、英語の「Lolita Fashion」の直訳である。ここでの、「Fashion」の意は服装のスタイルだけではなく、流行も指す。その他、日用品やアクセサリーなど、内装もロリータファッションに影響されている。
1.2 先行研究
先行研究に関しては、日本の学者、またはほかの国の研究者がすでにロリータファッションについてある程度の研究を行っている。
これまで、ロリータファッションのコードやスタイルの特徴と分類などは、すでに規定されている。最強のロリータファッションバイブルと言われている植田裕子の『ロリータ衣装道楽』のようなファッションマニュアルや雑誌などがロリータ服のルールとコーディネートを完全に収録している。また、ロリータファッション自身は発展の年代によって、その特徴や、発展の程度、愛用者側の特徴なども違って現れる。八幡茉莉子と渡辺明日香(2005)の「ロリータ・ファッションのルーツ:1980年代以降のストリートファッションに着目して」と、加藤訓仁子の『世代別「ロリータファッション」考察』の中では、ロリータファッションを三つの時期に分けている。ロリータファッションの分類と発展の時期については、完備的な研究があると言える。
そして、ロリータファッションが形成、または流行している原因の検討も多くある。例えば、劉茉然(2013)は『文化变异下的洛丽塔风格演变初探』の中で、時代によって社会環境、またはそれに応じる人々の心理を詳しく分析した。有田亘(2013)は『「視線革命」としてのロリータ・ファッションへむけて』に、愛用者たちの現実逃避、「かわいいものを見る」と「可愛いものを見られない」ということから複雑な観点を明示した。王银明は「洛丽塔风格服装的流行背景与产品设计研究」の中で、七つの社会的な原因を述べている。先行研究は多くが社会学、心理学と現象学などの専門的な角度から、社会環境、愛用者たち(主に女性)自身の心理と考えなどの分析に集中していること分かる。