5。2 今回の課題 15
参考文献 16
謝 辞 17
1。 はじめに
我々人間は普通コミュニケーションの手段として言語を使って聞き手との意思伝達を 行っている。その際に、話し手と聞き手の社会的地位及び年齢の差、親疎関係、または男 女によって、言語表現にも違いが見られると思われる。特に、日本語はこれらを非常に重 要とする言語であるため、非日本語母語話者がそれぞれの状況に適切な日本語を使いこな すことはそう簡単ではない。
私たちの日常生活においては他者に何か求めることが多い。依頼という発話行為は自分 の利益のために聞き手にある程度の負担をかける行動であるため、外国人として目標言語 を使ってなにかを依頼するとき、うまく伝えられれば手伝ってもらえるが、うまく伝えら れなければ、誤解が生じて聞き手に迷惑をかけ、礼儀がない人だと思われる恐れがある。 したがって、外国語としての日本語教育において依頼表現は学習の項目として重要だと思 われる。また、国際化がますます高まっている今日では、コミュニケーション能力の育成 という立場からも考察する必要性を強く感じている。来自优Q尔W论E文R网wWw.YouERw.com 加QQ75201.8766
この研究を選んだのは、聞き手に対して何かを依頼する場合、どんな状況に対しても適 応できる依頼表現がすでに決まっているわけではなく、話し手と聞き手の関係によって、 適切な表現が生まれてくる。また、日本語は敬語が発達しているため、直接依頼表現の丁 寧さにかかわり、一般の依頼表現から丁寧な依頼表現まで豊富な表現形式がある。それは 外国人にとって重要な学習項目の一つにもなっている。依頼表現は敬語表現とつながる表 現であるから、依頼表現の習得状況を通して学習者のコミュニケーション能力と全体の習 得状況を垣間見ることができよう。
これまでに依頼表現に関する研究が数多く発表されている。そのうち、日本語の依頼表 現の丁寧さについての研究もあり、日本人が考えている最も改まった場面で使う表現形式 についての研究もある。依頼表現によって、文化間のコミュニケーションと空間または親 疎関係を研究することはしばしば指摘されてきた。依頼表現に関する先行研究では日本語 母語話者と日本語学習者の対照が多く行われているが、中国人日本語学習者を中心とした 各学習者の学年による依頼表現の使用状況についての研究はまだ多くない。
本論文では「〜てくれる/くださる」と「〜てもらう/いただく」を依頼表現としてど のように使い分けているか、また学習歴別にはどのような違いが見られるかを明らかにす ることを目的とする。中国人学習者を学年によって分類して分析し、各学習者の学年から 比較する。各学習者の依頼表現においてはどのような使用差があるか。これを明らかにす れば、これからの日本語学習に役に立つと考えられている。
2。 先行研究
1980 年代、日本において井出祥子をはじめとする日米敬語行動に関する対照研究プロ
ジェクトがあり、その成果は『日本人とアメリカ人の敬語行動―大学生の場合―』という 著書の中にまとめられている。その中には日本語の依頼表現の丁寧さについての内容があ り、それによって日本人の大学生が考えている最も改まった場面で使う表現形式から最も 気楽な場面で使う表現まで、さまざまな表現形式が見られる。盧万才では中国人の日本語 学習者の依頼表現習得状況と井出祥子の日本人の大学生に対する調査の結果とを対照し、 中国人学習者と日本人の大学生との異同を明らかにしている。しかし、盧万才では単に中 国人の学習者と日本人を比較しているが、中国人学習者のレベル分けをしていない。中国 人の日本語学習者は多くの原因で能力が違うから、能力によって使用実態も違う。