その一方、今までの慣用句についての研究は主に人間の四肢や五官や動物などを中心に行われてきて、「虫」に関する言葉をめぐって研究を展開するのは少ない。中国語の「虫」とは同じ形であるけれども、色々な用法では違うから、日本語の勉強では間違いやすいところではないかと思っている。それで、日本語学習者たちが常に出てくる「虫」に関する言葉をより良く理解するように本研究を行った。本研究を通じて、日中両国の文化における虫についての用法の異同を明らかにすることにより、日本語学科の学生たちの日本語の勉強に少しでも役立てることを目的とする。
1.2 研究方法
図書館で慣用句やことわざについての本をたくさん探して読んで、その中に出てきた「虫」に関する言葉をすべて列挙し、辞典を引いて列挙された言葉の意を釈明した。そして、一一の言葉の中の「虫」の用法の差異で分類した。先行研究やヤフーの知恵袋にある「虫」に関する言葉についての発言をたくさん見て、分析して、そこで得た物を研究の素材とした。
1.3 先行研究のまとめ
中国では日本の慣用句を中心とする研究は数えきれないほどあるが、「虫」に関する慣用句をめぐって研究するのはあまり多くないのである。
韓勇の(2006)の『「虫」に関する慣用句』は簡単に「虫」の入る慣用句を幾つ例を挙げて、虫を人の体内にいる人の機嫌を影響するものとして紹介してくれた。
徐慧(2011)の『日中の「虫」に関する慣用句の文化異同分析』では主に日中両国の文化の異同を分析した。
孫舒凡(2012)の『「虫」に関する慣用句の認知語意分析』は言語学の隠喩などの手法をから見て、「虫」に関する慣用句が映ってきた日本人の認知方式や考え方を探究した。
謝国華(2013)の『日中両国語の中の「虫」についての考察――人を形容する表現を中心に』では日本語勉強者の語彙量を増やすために日中の「虫」に関する慣用句の用法を説明した。
現有の研究は主に日本人の認知方式や日中文化の異同を中心に展開し、日本語学習者のために系統的に詳しく「虫」に関する言葉を分析するのはあまりないのである。しかし、それこそ日本語学習者たちのための必要な分析と研究である。ゆえに、日本語の中の「虫」に関する言葉を詳しく説明したり、日中両国の「虫」に対する考えの違いをちゃんと紹介したり、日中両国語の中の「虫」の用途の共通点と相違点をはっきりしたいと思う。
2 虫についての考え
2.1 日本人の虫についての考え
2.1.1 古代の日本人
日本と中国は一衣帯水の隣国であり、中国を初めとする大陸文化からの影響を受けてきた。古代の日中両国の文化交流の中で、道教は重要な役割を演じた。中国の道教には「三尸」という説があって、それこそ古代日本人の虫についての考えに大きな影響を与えた。「三尸」とは、人間の体内にいる虫だとされていて、「三虫」」とも言う。60日に一度の庚申の日に眠ると三尸が体から抜け出し、天帝にその人間の罪悪を告げ、その人間の命を縮めるとされることから、庚申の夜は眠らずに過ごすようになった。一人では夜を過ごすことは難しいことから、地域で庚申講とよばれる集まりを作り、会場を決めて集団で庚申待ちが行われるようになった。庚申待ちは平安貴族の間に始まり、近世に入っては、近隣の庚申講の人々が集まって夜通し酒宴を行うという風習が民間にも広まった。そして、このことが拡大して三尸・三虫は人の感情や意識にさまざまな影響を与えると考えられるようになった。もともとが人にとって得にならないことをする虫であって、主には良くない意識や感情に対して用いられるようになった。源'自:优尔`!论~文'网www.youerw.com