「この書の表題は『学問のすすめ』と名づけたれども、けっして字を読むことのみを勧むるにあらず。書中に記すところは、西洋の諸書よりあるいはその文を直ちに訳し、あるいはその意を訳し、形あることにても形なきことにても、一般に人の心得となるべき事柄をあげて学問の大趣意を示したるものなり。」と自ら書中で語っている。つまり、『学問のすすめ』は、西洋の先進の文明に学び、自国の独立を促進することを目的として書かれた著作である。初編は「実学」の勉強を励み、ともに学問をすることの意を説く。二編から十七編までは西洋近代化の文明についての深い見解が随所に見られる。
1.3『学問のすすめ』の中国語訳本について
中国では、『学問のすすめ』の中国語での訳文は三つあり、それぞれは群力、柯泓、徐雪蓉という三人によって、翻訳されている。それぞれの訳文は1958年、2011年、2013年に出版された。以下は中国語訳文三つを説明する。
1958年、外国の文化と先進思想は中国に伝来している。『学問のすすめ』は西洋の近代化に学び、国の独立を達成することを目的として書かれた著作である。それに、日本近代思想史では重要な文献なので、日本思想史についての研究参考になるために、群力はこの本を翻訳して中国の読者にこの本の内容を紹介している。中国の学者ははじめに外国の文化に触たから、一歩進めてさらに言及して、その時の中国の文学は文語文が多くて現代文学が発達しないから、訳文はやや不自然だ。
2011年の訳本と言えば、柯泓は友達が明治時代の作品は文語文で翻訳したほうがいいと提案されたが、福沢諭吉の本心は教育の重要さを強調し、学問を奨励することだと思ったので、現代には訳文を文語文で翻訳すれば、あまり「学問を奨励する」の効果はないと思う。だから、柯泓は学問をすることの意を説い、この本の時代性及び現代に人々の読み習慣と考え、できるだけみんなにこの作品の本来な姿を現す。これで、柯泓のは自分の考え方を加え、現代人の読んだ思惟にもっと合致する訳本である。
最新の訳本は台湾人の徐雪蓉によって書かれたことである。出版の時間が短いので、全国に広めないのだ。でも、この訳本に『学問のすすめ』を翻訳したばかりではなく、福沢諭吉のことと作者のほかの作品を簡単に述べている。このように、読者にこの本に対する認識が深く刻み込まれている。これによって、この訳本は自然で理解しやすい。