要旨日本語の「シテイル」という文法形式については、動作の進行中や変化結果の持続など、その基本的意・用法がかなり明確になってきたと言える。しかし、「シテイル」の機能は進行と結果だけでは充分に説明できないところがかなりある。そこで、「シテイル」に関して、実際の文脈でどのように使われており、どういった点が日本語学習者にとって困難であるかを検討したい。「シテイル」形式の派生的な用法を探求しつつ、調査結果を合わせて自分の結論を出す。48177
キーワード:シテイル;繰り返し;経験・記録;完了;アスペクト
目次
1.はじめに 2
1.1動詞のアスペクトとテンス 2
1.2アスペクト・テンスとしての「シテイル」についての研究 3
1.3動詞「シテイル」形式の意 3
2.「シテイル」形式の派生的な意 6
2.1「シテイル」形式の派生的な意 6
3. 「シテイル」形式の派生的な意の使用実態 6
3.1「シテイル」形式の派生的意に関する一調査 6
3.2「シテイル」形式の派生的な意の使用実態 7
3.2.1繰り返し・習慣 7
3.2.2経験・記録 7
3.2.3完了 9
3.2.4アスペクトのない「シテイル」形式の意 10
3.2.5アンケートに見る使用実態の全体像 13
4.終わりに 14
4.1まとめ 14
4.2今後の研究課題 14
資料15
参考文献 16
1.はじめに
日本語学習者として、日本語は学べば学ぶほど難しいと思う。特に、日本語のアスペクトとテンスは外国人にとって習得が困難な文法項目である。日本語のアスペクト・テンス体系によると、動詞には「スル」・、「シタ」、「シテイル」、「シテイタ」四つの語形がある。中でもシテイル表現に関する誤用や理解の勘違いの問題が大きいと思う。本論文は日本語学科三、四年生の学生の使用実態をアンケート調査で考察しながら、「シテイル」形式の派生的意を説明・理解することを目標とする。
1.1動詞のアスペクトとテンス
工藤真由美(1995)『アスペクト・テンス体系とテクスト』では、「アスペクトとは、基本的に、完成相と継続相の対立によって示され、出来事の時間的展開性の把握の仕方の相違を表す文法的カテゴリーである。テンスとは、基本的に、過去時制の対立によって示され、出来事と発話との時間関係の相違を表す文法的カテゴリーである。」というのである。
高橋太郎(2003)の『日本語の文法』によると動詞の表す運動は、時間とともに進行するものであり、始まりと終わりがある。この始まりと終わりのある運動をどのようにとらえるかということにかかわる文法的なカテゴリーをアスペクトという。現代日本語同士は、アスペクトのカテゴリーのもとに完成相と継続相の二つの語形(文法的カテゴリーの動詞)が対立している。動詞のテンスは、動詞の表す運動(またはその一定の局面)が、発話時を基準として、それよりまえ(過去)か、それと同時(現在)か、それよりあと(未来)かを表し分けることについてのカテゴリーである。発話時を基準とする時間は、論理的あるいは意的には、過去、現在、未来に分かれるのであるが、現代日本語は非過去形と過去形の二つに対立しているということである。