马计斌,常玉栄,何石妹(2010)は『女娲民间信仰的世俗化演变及其文化意义』という論文の中では、母神女媧について、「中国の古くから伝わる神話によって、女媧は多色の石で空を繕ったことや人類を産んだことや世界を作り出したことなどで、中国の母神になったそうだ。時代が移り変わるにつれて、民間では女媧のイメージを擬人化させてきたため、女媧は神様のイメージだけではなく、親切で美しい女性の感じでもある。女媧は庶民の生活に入り、庶民との距離も近くなり、庶民に祠で祭られる全能女神になってきた。」と述べている。
バロソ イザベルの『神話理論の新定義に向けて』という文章の中では、日本の母神イザナミについて、「日本神話で、「アマテラス」や「イザナミ」の象徴性や役割を分析すると、月経などの「女性のもつ神秘性」の中に「性的抑圧」の意が隠されていると考えられる。イザナミが最後に火の神を出産した時、「女陰を焼かれて」というのは、心理分析的に見ると、日本神話には女性達に性欲を禁止しているようなイデオロギーが反映されている。」と述べている。
二、比較研究
①、中日の神話の比較
崔文峰(2009)の『中日创世神话的异同性比较』という論文の中では、世界を作り出した方法について、「中国の神話では、主に労働や神様の意識を通して、世界や人類を作り出したのである。一方、日本の神話では、主に両性の結びつきで世界や人類を作り出したのである。」と主張している。源-自/优尔+文,论`文'网]www.youerw.com
全体的に見れば、女神に関する文章は豊かにあるが、一つの女神に関する研究のほうが多い。例えば、女媧に関する文章の内容は主に女媧の功績や女媧の発展の軌跡や女媧への信仰や女媧の精神などの方面であり、他国の同じような地位にある女神との比較が少ないのである。中日の神話の比較の領域から見れば、主に創世神話の比較に重点を置き、中日の女神の比較に関する内容はあるが、全面的な分析は足りないと思われる。
1.2研究内容と意義
小論では、中日両国の母神である女媧とイザナミを対象として考察する。また、文献解読と比較分析という研究方法を運用しながら、両国の母神である女媧とイザナミのイメージを比較して、功績と個性と後世への影響などの面から両者の共通性と相違性を分析し、それをもとにして、その裏にある文化背景と民族風俗を明らかにしたい。両国の文化背景と民族風俗を明らかにすることは中日両国の友好交流に対しても有意義だと思われる。
2.両国の母神
2.1 中国の母神――女媧
人類発展の長い歴史の中では、女性を中心にする社会があった。すなわち、母系社会という。当時は社会の生産力が低下したため、人類の生活は困難で、平均寿命も短かったのである。その時代の人々は女性の生殖器が人類を孕むことができると信じていた。従って、中国であれ日本であれ、母性への崇めから生じた女神崇拝がある。女媧は中国の神話歴史の中で、功績が最も顕著である女神として、彼女に関する神話の物語が多くある。
古代の中国神話に登場する女媧は土と縄で人類を創造したとされて、姿は蛇身人首と描写される笙簧発祥の女神である。神話によると、女媧の姓は鳳姓、伏羲とは兄妹または夫婦とされている。伝説の縄の発明者葛天氏と同じく伏羲の号に属するとされる説と、三皇の一人に挙げる説もある。女媧以前に人はいなかったので、女媧は人間を作った創造神とされている。女媧が母神であるということは最初に『山海経』「大荒西経」1の中で記録されている。後漢時代に編まれた『太平御覧』2によると黄土を捏ねて作った人間が貴人であり、数を増やすため縄で泥を跳ね上げた飛沫から産まれた人間が凡庸な人であるとされている。