最後に、数の最も多い消費者として、若者はどのような影響を受けているだろうか。その問題について、成怡は「“初音未来”：虚拟技术与现实世界的伦理碰撞」の中で、「初音ミク」は若者にとって理想的な自分の投影や現実逃避の手段だと述べている。現実社会には完璧なアイドルがないため、理想的で憧れている自分を完璧なバーチャルアイドルと併せることによって、理想的な自分を構築する欲求が満たされる。一部の青少年は、現実社会からのストレスに堪えきれず、インターネットの世界へ浸り、噂なく、年をとることなし、自分を責めたりはしない可愛らしいキャラクターを好きになった。「初音ミク」はまさにそれらの社交が苦手な若者にとって現実社会から逃げ出す一つの手段と化した。

上述の先行研究では、初音ミクの誕生、流行や社会影響について述べていたが、初音ミクの誕生した環境、Ｎ次創作にける心理的要因や社会に与える他の影響などの点では、不備があるように思われる。そこで、本論文では初音ミクに関する資料やニュース、そして、初音ミクで創作した作品に着目し、アニメ、コミック、ゲーム文化が流行っているという環境に注目し、作品の創作過程やその中におけるユーザーの心理などの視点から初音ミクの由来、流行の原因、そしてその社会影響について分析したい。これを通じ、初音ミクの存在そのもの、そして日本のアニメ、コミック、ゲーム産業の商業手段の一部を明らかにすることで、それらに夢中となっている日本の若者の価値観を知ることができるのではないか。上述したことを明らかにすることは、中国のアニメ、コミック、ゲーム産業や若者向き文化の創作からも有意義であると考える。来,自,优.尔:论;文*网www.youerw.com +QQ752018766-

3。 初音ミクの誕生

　ある商品の出現からその裏に存在する原因を検討するのは必要のないことだと思っている人もいるが、ある商品の出現は必然なのか、それとも偶然なのかという問題に対して、必然性も偶然性もあるといってよいだろう。生きるのに必要な商品は必然的に出現する。例えば、米、衣装など人間の生活に必要なものは商品経済によって必ず商品になる。しかし、人の最低限度の生活レベルが満たされた上で、人の精神生活に満足感を与える商品の出現には、偶然性が多いと思われる。特に情報社会になった現在では、革新こそがすべてという現実社会で、個人の発想は世界を変える可能性があるといってよい。それでは、娯楽商品の出現はすべてのある個人的な発想によって誕生し、流行りになったのか、それとも偶然性に必然が隠されているのか。本章では初音を例にあげ、初音ミクの誕生を分析する。