「第二の手記」「第三の手記」は、葉蔵が実際に世の中に出たとき、学校や世間とぶつかりながら、「恥の多い生涯」を送っていく姿が描かれている。東京で酒、たばこ、売春婦、共産主義を知る。銀座の女と一緒に自殺する時、女性の方は死亡したが、葉蔵だけは救われた。自殺の理由はお金がなく、二人とも生活に疲れていたからだ。人を疑うことを知らない無垢なヨシ子に惹かれ、葉蔵は結婚する。結婚生活はこの小説のなかで唯一の幸せな期間だとも言えるだろう。しかし、この期間が束の間だ。ヨシ子は他人を疑わないという美質のせいで、家を出入りしていた男に無理やり犯されてしまった。そのシーンを生で見た大庭葉蔵は何も言わずに、そっと部屋に帰った。その事件から、ヨシ子の信頼という美質が汚されて、二人の夫婦関係も崩れてしまった。このことによって、葉蔵は徹底的に崩壊していった。葉蔵はヨシ子が隠し持っていた致死量の睡眠薬を飲み、自殺を図るが死なずに生き残る。葉蔵はますますアルコールに頼る。アルコール中毒から脱却しようと、アルコールよりはマシだろうとモルヒネを飲み始めモルヒネ中毒になる。最後に大庭葉蔵は人間としての資格を喪失する人間になって、完全に感情に任せて事を進め、堕落する人生に向かった。薬物におぼれ、買春、自殺、それから、完全に他人が理解できなくなり、それと同時に人間を恐れるあまり、世界を放棄し、最後に友人と妻によって精神病院に送り込まれた。
2.2主人公大庭葉蔵
「また、自分は子供の頃、絵本で地下鉄道というものを見て、これもやはり、実利的な必要から案出せられたものではなく、地上の車に乗るよりは、地下の車に乗ったほうが風がわりで面白い遊びだから、とばかり思っていました。自分は子供の頃から病弱で、よく寝込みましたが、寝ながら、敷布、枕のカヴア、掛蒲団のカヴアを、つくづく、つまらない装飾だと思い、それが案外に実用品だった事を、二十歳ちかくになってわかって、人間のつましさに暗然とし、悲しい思いをしました。」[3]「第一の手記」)作品の冒頭はこんな簡潔な言葉で葉蔵の極端的な厭世があざやかに示されている。葉蔵は敷布、枕のカヴア、掛蒲団のカヴアが全て実用的な目的に沿ってつくられているらしいと知った。自分が気ないと感じる現実を、ほかの人々は気ないとも思わず満ち足りているらしい。生活とは何なのか。どうしてそんなものに耐えられるのか。葉蔵は敏感で、人間生活に対して恐怖と不安を持っている。
「つまり自分には、人間の営みというものが未だに何もわかっていない、という事になりそうです。自分の幸福の観念と、世のすべての人たちの幸福の観念とが、まるで食いちがっているような不安、自分はその不安のために夜々、輾転し、呻吟し、発狂しかけた事さえあります。自分は、いったい幸福なのでしょうか。」[3]葉蔵は矛盾の一生を過ごしたとも言える。彼は人間に恐怖を感じながら、共通点を求めている。彼は幸福を大事にして、幸せになりたがる。自分の考えが他人と異なることに気づいた葉蔵は道化を選んだ。彼は人間をどうしても思いを切れないのだ。社会と相容れない彼は人間の愛と理解が欲しがる。道化は、彼の、人間に対する最後の求愛である。しかし、その過程の中に彼は一言も本当の事を言わない子になっていた。こんな自分に彼は絶望を感じていた。心の中に狂うほどの恐怖を感じていた。人間関係から、葉蔵はずっと逃げていたとも言える。真実の自分を対する勇気がなかった。
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