1.1宮崎駿について
宮崎駿は、第二次世界戦争の最中―1941年に生まれた、日本の代表的なアニメの巨匠である。社会情勢と家庭の影響から、宮崎駿は戦争に対して反抗的な感情を持っている。平和愛好者として戦争に強く反対し、更にスタジオジブリ出版の小冊子『熱風』2013年7月号の特集「憲法改正」において、自分の憲法改正についての見解を人々に示した。「憲法を変えるなどもってのほか」という題の寄稿文で、宮崎は憲法改正に反対の立場であることを明らかにした。
アニメ監督としては、その作品から彼が自然や人間に対する心からの愛と熱心な感情が見られた。もちろん、戦争の影響を強く受けていたため、戦争も宮崎駿の作品の中の主題になった。宮崎駿の処女作『未来少年コナン』から、最後の作品『風立ちぬ』まで、多くの作品の中で彼はその戦争感を表現した。
1.2『風立ちぬ』について
『風立ちぬ』は2013年7月20日に公開されたアニメ界の巨匠である宮崎駿の最後のアニメ映画である。この作品は実在の人物である零式艦上戦闘機の発明者―堀越二郎をモデルに、彼が戦争の中で暮らした半生を描いたものである。戦争の兵器としての飛行機に嫌悪感を持っている堀越二郎は、飛行機それ自体が嫌いなわけではない。それから、戦争兵器の製造者としての堀越二郎の考えも映画の中で明らかに伝えられた。宮崎駿も主人公の思想を通して、自分の戦争に対する矛盾的な態度を表した。
1.3先行研究
上記のことを考察するために、多くの資料を調査したところ、宮崎駿アニメでの反戦思想について、日中両国の専門家があらゆる研究を行っていたことがわかった。例えば、曲阜師範大学の林広霞氏の論文「アニメ巨匠宮前駿と彼が築いた夢―宮前駿アニメの研究」(2011)、武漢大学の王尓晴氏の論文「宮崎駿アニメの飛ぶことへの分析」(2013)の中には、宮崎駿のアニメ映画と彼が映画の中で表した戦争に対する態度をそれぞれ研究している。林広霞氏は宮崎駿アニメのストーリーを通して、鮮明的に宮崎駿の戦争に対する反感を考察した。王尓晴氏は宮崎駿アニメ中での具体的な飛行設備から彼の反戦思想を研究した。平和と愛の前において、巨大な戦争兵器が最も破壊されやすいものになることは、宮崎駿の反戦思想の象徴であると言われていた。
しかし、上記のように、多くの宮崎駿の反戦思想についての研究は、宮崎駿の早期の作品をもとに行われた研究である。最近公開された『風立ちぬ』で伝えられた宮崎駿の戦争観に関する考察は、十分に行われているとは言えない。肥内氏の論文「宮前駿の零戦」`优尔~文[论]文'网www.youerw.com(2014)、馮夏楠氏、呉定勇氏の論文「アニメ映画『風立ちぬ』のストーリー研究」(2014)、王楠氏の論文「宮崎駿の『風立ちぬ』のスチームパンクのような元気づける心」(2014)では、『風立ちぬ』の中で伝えられた愛と夢について研究している。
また、肥内氏の論文は、この作品の戦争思想には及んでいない。馮夏楠氏、呉定勇氏の論文と王楠氏の論文は、作品の戦争思想にも触れているが、私たちに伝えるのは二郎が戦争に対する嫌いな態度が宮崎駿の反戦思想の象徴である、その限界に及んでいない。王楠氏は戦争兵器の代表である飛行設備への分析から、宮崎駿の反戦思想について指摘した。しかし、同じように、限界性を論じていない、その原因も解明されない。以上のことからも明らかなように、これらの研究では十分に解明されているとは言えないのではなかろうか。そして、清水節氏は「『風立ちぬ』―優しすぎる反戦である」の中で、「宮崎駿は戦争兵器としての零式艦上戦闘機に熱狂するが、戦争に嫌う矛盾に陥る」と述べているが(注8)、詳しい分析はなく、原因も考察してしない。