本論はまず先行研究を踏まえ、ブックオフを例にして、日本の新古書店を全面的に考察する。そしてブックオフの経営戦略を検討する。また、新古書店が日本の書店業界に与える影響や、業界がそれに対する対策を分析し、さらに、新古書店から、未熟な中国の中古品ビジネスに参考になる発想を提出する。
2。 先行研究
本章では、新古書店に関する先行研究を考察する。
ブックオフを始めとする新古書店は、過去二十年間にかなり注目された。日経ビジネスのインタビューや記事により、ブックオフのトップ層から会社の経営戦略を公開した。創業者の坂本孝(2003)は『ブックオフの真実』では、会話という形で、ブックオフを創立した経緯及び会社の経営戦略を語った。特に、マニュアル化、現場主義などの主張を提出した。また、元社長の橋本真由美(2006)は『ブックオフ社長橋本真由美の「最強の現場の創り方」』では、働く現場での色々な経験を語り下ろした。
また、ブックオフの経営モデル、言われる「ブックオフ・ビジネス」に関しての研究が数多く行われた。岩田昌樹(2013)は『現代消費社会における「サードプレイス」』では、ブックオフ、スダーバックス、蔦屋書店との比較を通して、「ユーザーの声に耳を傾ける」という価値基準を検討した。また、山田英夫、大木裕子(2010)は、「出版業界における規模型中古品事業のビジネスモデル―」で、ブックオフを「規模型事業」中古品ビジネスの典型例として分析した。
一方、新古書店の勃興により、不況の新刊市場がさらに衝撃を受けた。日本の再販制度によって、新刊書店が定価販売を行うことになる。しかしながら、中古品の値段は制約されていない。「新品に近い中古品」は定価の半分でブックオフに売られている。そのため、小田光雄(2006)は、『ブックオフと出版業界』で、ブックオフを「出版業界の破壊者」として激しく批判した。
日本の新古書店は、中国で知名度がそれほど高くないが、、既に出版業界の研究者に紹介されたのである。筆者が調べた限り、李常慶(2003)の『日本的五類報刊書店及其連鎖化発展戦略』で始めて「新旧書店」、つまり日本語の「新古書店」という名詞を使った。また、時晨、于雪(2016)は『解构与重塑:撹動日本出版市場的BOOK OFF』で、日本の出版業界とブックオフの関係を詳しく紹介した。国内の研究には、これより詳しいものがないと考えられる。
3.経営者の立場から見る新古書店
前述の通り、コンビニのような店にきれいで安い古本を売る新古書店チェーンは、伝統の古書店の形を打ち破り、急激に栄えてきた。ブックオフ、古本市場、ブックマーケットを代表として、主な新古書店が激しく発展しながら、自分なりの経営戦略と企業文化を段々確立した。2010年度、新古書店の推定市場規模は新刊市場の半分に相当した。そのうち、最初に「新古書店」のモデルを始めたブックオフは、ほぼ60%の市場シェアを占めていた。まさに、一番目の大手企業であり、典型例である。そのため、本章ではブックオフを例にして分析する。まずは、価格に着目し、新古書店のコアコンピタンスに目を向ける。次に、店頭のイメージづくりと仕入れなどから、顧客のニーズを満足する手段を検討する。さらに、ブックオフのマニュアル化と全員経営について論じる。