2。2徳川家定の願い

家定は初め家祥と名乗っていたが将軍就任に際して家定に改名していた。第12代将軍・徳川家慶の四男であった。成人まで生き残ったのは家定だけであった。それ以外に全て早世してしまう。しかし家定も幼少の頃から病弱で、家定の継嗣としての器量を心配して、高貴で生まれた正室喬子王女に尊敬する家慶は一橋家の見た目がかっこいい徳川慶喜を将軍継嗣にしようと家慶は考えたほどである。現代の研究はハリスの日記によると、引見した際に家定は言葉を発する前に頭を後方に反らし、足を踏み鳴らすという行動を取ったと記されているというわけで、脳性麻痺であったと言われている。しかし、当時の幕府内部の激しい争いの下で、脳性麻痺はただ自分のことを偽装する動作だと言われる研究もある。理由は家定はハリスに対して「遥か遠方より使節をもって書簡の届け来ること、ならびにその厚情、深く感じ入り満足至極である。両国の親しき交わりは幾久しく続くであろう合衆国プレジデントにしかと伝えるべし」[宮尾登美子。天璋院篤姬[M]．講談社，1984 ]と告げ、将軍らしい態度も見せたということから判断した。政治にも婚姻生活にも不順で、元の二人の奥さんが若死で実子は生まれなかった。彼の圧力は言うもなく知れました。それは彼がずっと現実を逃避するよう気が狂った将軍に装うわけかもしれない。だから、すぐ迎えるところの花嫁に対して、彼の気持ちがじつは複雑である。なぜなら、この奥さんが一橋派の势力に意図を持ったスパイとされ彼に近づくとよく知っているからだ。しかし、かれが慶福を将軍継嗣にするという意向で、一橋家の徳川慶喜ではない。だから、奥さんの前に彼が引き続き自分のことを偽るつもりだが、この奥さんがなんとその聡明な政治頭脳と高い識見の持ち主の篤姫だと自分の運命でもあざ笑っている家定まで思いがけなかった。篤姫は、全身全霊を傾けて養父の使命を達成しようと決心を固める一方で、心の中で女として自分の夫と生みの親のように意気投合した相愛の夫婦だと心の中でも切に望んでいる。大奥に入る前に、生まれつき体質が弱いと家定の噂が聞いたことがある。しかし、頭がそれほどよくの彼女は当然信じられるわけがないだろう。あることをして家定の本物の考えを探りを入れてみだが、ただ一つの 試験的な動きでお互いの命における替わることが出来ない運命が前もって示していると思えなかった。篤姫は偽って生活している夫の事をもっと知りたがっているが、直接に問い詰めるのも明らかに無駄だ。最後、夫婦の間は率直で付き合うすべきだとわかった。それで、自分の政治上の目的が明らかに告白した。が、家定は全てのことがはっきり知てただ天命に任せることだということが彼女は思いがけなかった。それでも、篤姫は政治に遠見卓識で徳川家に大きな責任感をもっていたのにわれ関せずの超然たる態度をとる家定に理解できなかった。体であっても心であっても現実にぼろぼろされた家定に向かって、妻の身分で夫のことを慰め、助けようといて彼女は自分の使命まで忘れてしまった。けれども、家定は相変わらず篤姫のことを受け入れなかった。篤姫は自分の率直で家定に心が開かれてしまった。家定にとっては、そういう御台所は未曾有で賢くて、足を止めて休める避難場所で信頼できると言う存在である。運命が政治に左右された二人は、やっとこのように親交を深め合ったが、運命は意地悪をするのが好きようで、彼らは愛し込んでいるうちに、悲劇も来た。日本に対して、幕府の統治が少しずつ崩れるじだいである。結婚以来僅かの一年九ヶ月が経つ安政4年七月、家定は病気で死去してしまった。残念と未練を抱えて世に去った。この有難い幸せを楽しめないうちに、幸福がぱっと消えてしまった。結婚にまで面会したことのない二人にとって、一年九ヶ月の間ではお互いに愛し合う最中かもしれないが、死別であった。最後に目につく家定は氷のように冷たいあの霊柩しかなかった。当時二十三歳の篤姫は落飾し、天璋院と名乗る。家定の死んだ事実が分かった日から、彼女は昔のような篤子ではなかった。これからは、永遠に家定との記憶を抱いて生活を送っている。家定と付き合う各瞬間、家定が話してくれたすべてのことを回想した生活を送っている。「いずれにしろ、篤子さんは私の代わりに徳川幕府を守ってくれ、生涯の希望を守ってくれてほしい」[童門冬二。篤姬[M]．广西師範大学，2009